個人事業主・フリーランスとして独立、健康保険は国保?任意継続?どうすればいいの?
会社を退職して、個人事業主やフリーランスとして独立!
健康保険をどうするかで、保険料の支払い金額が大きく変わります。しっかり検討しましょう。
「国民健康保険」と「社会保険の任意継続」
会社を退職した場合、健康保険の切り替えが必要になります。
選択肢は大きくふたつです。
- 国民健康保険
- 社会保険の任意継続
どちらを選んでも病院での窓口負担(3割)は同じです。
でも、保険料の負担が全然違ってくる場合があります。
どちらを選ぶかは、支払う保険料次第ということになるでしょう。
それぞれの保険料の計算のしかたを見ていきます。
※
他にも正社員として働く配偶者がいる場合などは、その配偶者の扶養に入るという選択もあります。
この場合、保険料の負担はなく一番お得ですが、収入(失業保険含む)が無いことが前提となります。
この記事では独立して事業を開始したことを前提としているため、選択肢を上記のふたつとしています。
国民健康保険の保険料の計算のしかた
国民健康保険の保険料の計算は、前の年の所得に基づきます。
サラリーマンだったなら、前の年の給与次第ということですね。
具体的な計算方法は市区町村によって違います。
例として、前年の給与が600万円 40歳 独身の場合の東京都江戸川区の保険料を計算してみました。
計算の結果、保険料は年間で51万円ほどになります。
月平均だと4万2千円、実際は年10回払いなので、1回あたりの保険料は5万円を超え、負担は大きいです。
なお、年間保険料には上限があり、全国一律で93万円と決まっています。
(2018年の場合 医療分:58万円 後期分:19万円 介護分:16万円)
任意継続の保険料の計算のしかた
任意継続は、会社員時代に入っていた社会保険に継続して加入するということになります。
継続期間は2年です。
任意継続の保険料は、給与から引かれていた健康保険料の2倍となります。
会社員時代は、社会保険料の半分は会社が負担していたのですが、その会社負担分がなくなるため2倍となります。
これだけだと、保険料が2倍になって高い!となります。
ただし、保険組合ごとに保険料の上限が決まっています。
中小企業が一般に入っている「協会けんぽ」では、標準報酬月額が28万円の場合の保険料が上限となります。
この場合の月額保険料は32,116円(年間だと38万5千円)です。
(2018年東京都 40歳以上で介護保険料込みの場合)
つまり、平均給与が28万円を超える人については、任意継続の保険料は上限である平均給与が28万円の人の保険料と同じでよいということです。
国民健康保険が前の年の所得が多くなると年間保険料は93万円まで上がっていくのと比べると、所得が高い人ほど任意継続を選択した方が、保険料がお得になるということになります。
大企業が一般に入っている「組合健保」では、保険料の上限が違います。(組合の全被保険者の標準報酬月額の平均が上限となっているのが一般的)
ただ組合健保の場合でも、保険料の上限があるため、所得が高い人ほど任意継続を選択した方が、保険料がお得になるという結論は変わりません。
任意継続を選ぶ場合の注意点
所得が高い人ほど、任意継続を選んだ方が保険料がお得になるということが、わかりました。
次に任意継続を選ぶ際の注意点をご説明します。
手続きできる期間が限られている
任意継続を選ぶ場合は、退職の日から20日以内に手続きをする必要があります。
この期間を過ぎると任意継続を選択することはできなくなります。
余談ですが、私は最初の会社を辞めた際、すぐに北海道へツーリング旅行に出かけました。
旅行から帰ったら自宅に退職関連の書類と一緒に任意継続の案内の書類が届いており、急いで手続きをしてギリギリ20日以内に間に合ったということがありました。
ツーリングの旅は特に予定は決めておらず、単に寒くなってきたので帰ってきたという次第で、気候によっては、旅が長引き20日に間に合ってなかったかもしれません。
当時は仕事がIT系で、こういった社会保険の知識もなく、無知というのは恐ろしいものです。
退職してすぐ旅行に行く場合などは、注意しましょう。
保険料は2年間変わらず、原則は2年間の継続、だが…
任意継続を選択すると、就職して社会保険に入る場合などを除いて、2年間継続して加入することになります。
そしてその2年間は、保険料の収入による見直しはありません。
一方、国民健康保険は、毎年、前の年の所得をベースに保険料は見直されます。
そのため個人事業主やフリーランスとして独立して1年目の所得が少なかった場合には、1年目は任意継続の方が保険料が低くても、2年目は国民健康保険を選んだ方が保険料が低くなることがあります。
このような場合、1年目は任意継続を選び、2年目は国民健康保険を選ぶという都合のいい選択はできるのでしょうか。
原則、任意継続は2年間の継続が前提なので、できないのが建前です。
しかし、任意継続には「保険料を納付期日までに納付しないと資格を喪失する」というルールがあります。
このルールを逆手にとって、あえて保険料を納付期日までに納付しないで資格を喪失して、任意継続を脱退し、その後、国民健康保険に加入するということができます。
なので任意継続を途中で辞めることを考えている場合は、保険料の納付は口座振替にはしないで、毎回振り込み等で納付する方がよいでしょう。
ただし、この場合には、納付を忘れて意図せず資格を喪失した、ということにならないように注意しましょう。
まとめ
会社を退職後、健康保険は、国民健康保険と任意継続のどちらを選ぶかで保険料の負担が違ってきます。
サラリーマン時代の所得が多い人は、任意継続を選んだ方がお得な場合が多いです。
本文では触れませんでしたが、扶養家族がいる場合は、任意継続を選んだ方がそのまま扶養にできるので、その分も任意継続が有利になります。
実際にどちらかを検討する際には、国民健康保険は市区町村に、任意継続は社会保険の組合に連絡して、実際に払うことになる保険料を教えてもらうとよいでしょう。