年末調整に間違いがあった場合の手続きについて
会社員が年末調整の書類を会社提出するのは、11月から12月初旬ごろです。
しかし、年末調整の書類には、12月末までの収入や、12月末時点の扶養の状況などを記載します。
そのため年末調整完了後に、記載した内容が間違っていたということがあり得ます。
その場合の手続きについて、ご説明します。
手続きが必要なケース
手続きが必要なケースの代表例は次のような場合です
配偶者の収入が変わった場合
年末調整の書類には、配偶者の12月末までの収入の見込額を記載するため、実際と異なる場合があります。
異なっていても、配偶者控除額や配偶者特別控除額が変わらなければ手続きの必要はありません。
これらの控除額が変わった場合には、手続きが必要になります。
配偶者控除額、配偶者特別控除額の計算方法は、下記の国税庁のサイトをご参照ください。
わかりづらい場合は、下記の国税庁サイトからExcelの「平成30年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)」のファイルに、書類に記載した金額と実際の金額を入力して、配偶者控除・配偶者特別控除の金額が変わるかどうかを確認すればわかりやすいです。
国税庁:平成30年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)
扶養親族の数が変わった場合
扶養親族は、12月31日現在の現況で該当するかどうかを判定します。
そのため12月31日までに、出産で子供が増えたり、子供が結婚して扶養から外れたり、など、年末調整の書類への記載と実態が異なることになった場合には、手続きが必要になります。
必要な手続きとは?
必要な手続きは、次のどちらかです。
・年末調整のやりなおし(再年調)
・確定申告
年末調整のやりなおし(再年調)
会社に年末調整の間違いを申告し、再度、年末調整を行ってもらいます。
再度、年末調整を行った場合に生じる差額の税金は、給与等で精算されることになります。
会社が年末調整のやり直しを行える期間は、翌年1月31日までとなります。
ただし、会社は翌年1月31日までに年末調整関連の手続きをすべて済ませる必要があるため、1月31日以前であっても、年末調整のやり直しをやってもらえるかどうかの対応は会社によって異なります。やってもらえない場合が多いのが実態だと思います。
会社で年末調整のやり直しをやってもらえない場合は、自分で確定申告を行うことになります。
確定申告
そもそも「年末調整」と「確定申告」の違いですが、どちらも税金を計算して税務署に申告し、給与等から天引きされた税金との差額を精算するのは同じです。
会社が従業員に代わって税金計算・申告をしてくれるのが年末調整、従業員が自分で税金計算・申告するのが確定申告です。(医療費控除や、1年目の住宅ローン控除などは、年末調整では計算されないので、確定申告が必要になります)
確定申告を行う期間は、税金を追加で納税する場合は翌年の2月16日~3月15日、税金が還付になる場合は翌年1月以降、5年間はいつでも大丈夫です。
確定申告は、確定申告書を作成して税務署に提出することになります。
上記の例のような場合では、国税庁の確定申告作成コーナーで比較的簡単に作成できます。このとき会社から交付された源泉徴収票が必要になるので、無くさないようにしましょう。
(年末調整で調整された生命保険などの情報は、源泉徴収票に記載されているので、改めて控除証明書を用意する必要はありません)
まとめ
年末調整が間違っていた場合の手続きについて、ご紹介しました。
年末調整は、会社が従業員に変わり税金を計算し、申告してくれるものです。そのため会社に家族の情報などのプライバシー情報を提供する必要があります。これに抵抗がある場合は、年末調整では住所などの最低限の情報だけを提供し、ご自身で確定申告をするということもできます。